ガール

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30代で課長という異例の昇進をした聖子。親友に触発されてマンション購入を画策するゆかり。若かりし頃との扱いの違いに戸惑うを隠せない由紀子。シングルマザーで営業部に復帰した孝子。好みのタイプだけど一回り下の後輩を指導することになった容子。社会で活躍する五人の30代女性を描いた短編集。現代社会における女性の立場や心情を、男性の著者がリアルに表現している。


男と女。非常に難しい問題で、フェミニズム*1こそ究極の女性差別という考えもあるように、差別されている対象を守るという考えは弱者という概念があってこそ成り立つもので、一概に何が正義か言えないところがある。もちろん、そんなことを言っていたらキリがないのも事実。昔に比べたら随分と性別を気にせずに生活できる社会にはなってきたけど、忘れてはいけないのはいつの時代でも、男女関係なく、一人一人が他人を少しでも敬う努力をすることが必要だってこと。まあ、それが容易にできたら今頃地球は平和なんだけど。


閑話休題。この作品はそういったデリケートな話題を扱いながらも嫌味を感じさせない文章で、誰にでも素直に楽しめると思う。やっぱ奥田さんは好きだわ。


(図書館)

*1:男女同権を実現し、性差別のない社会をめざして女性の社会的・政治的・経済的地位の向上と性差別の払拭を主張する論