氷の華 / 天野節子

氷の華

氷の華

夫の浮気を知った主婦がその愛人を殺す。犯行トリックよりも登場人物の内面に焦点を当てるタイプのミステリーサスペンス。作者さんが還暦近いからか、“丁寧な作品”という印象。言葉使いもしかりだけど、何より起承転結の展開が、特に転から結にかけての流れが秀逸。なんとなく先が読めつつも、あまりの流れの鮮やかさに思わず舌を巻いてしまう。殺人を犯した者の苦悩や葛藤もリアルに描かれていて、やはり殺人は悲しい結末しか呼ばないのだろうか。


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