ロミオとロミオは永遠に / 恩田陸

学園脱出物語。ニ十世紀、特にそのサブカルチャーをオマージュした作品。確かに、日本ほど多種多様なサブカルチャーが発達した国もあるまい。どこか背徳的な雰囲気を醸し出すそれにいかに身を捧げられるか、それが大東京学園を生き抜くコツであり、この国で生きていくコツでもある。雰囲気はバトロワ的と言えばバトロワ的。タダノとキタノは似て非なるもの。ただ恩田作品ってどれも題材は目新しいし、着眼点も独特だし、前半はどんどん読ませるのに、ラストがいつも微妙なんだ。東京オリンピックが始まったときは期待に胸が膨らんだものだけど、読んでいくと突然ストーリーが坂を転がり落ち初めて、気付いたら終わってた。その跡には何も残さずに。あらゆる作品の出来はラストとその読後感で決まると信じている自分としては少し寂しかった。


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