すべてがFになる / 森博嗣

すべてがFになる (講談社ノベルス)

すべてがFになる (講談社ノベルス)

「THE PERFECT INSIDER」という英題がついているように、稀代の天才が引き起こした不完全な完全犯罪を描いた作品。初めて読んだ森作品、『スカイ・クロラ』はそのあまりに理系臭のする文体に拒絶反応を引き起こしてしまったが、こちらは割と普通の密室サスペンス。トリックがあいかわらず理系的な発想でそこら辺はまだ好きになれないけど、最後まで読めなかったオチとか、真賀田四季という人物とか、惹かれる部分も多かった。


ちなみに犀川助教と萌絵が登場する話はS&Mシリーズとして続き、さらに四季博士の物語を描いた四季シリーズというのもあるらしい。後者はちょっと読みたいかも。

「先生……、現実って何でしょう?」
萌絵は小さな顔を少し傾けて言った。
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」
犀川はすぐに言った。
「普段はそんなものは存在しない」