女王様と私 / 歌野晶午

女王様と私

女王様と私

44歳独身、童貞、ニート、デヴ、オタク、そしてロリコン。そんな「私」がある日、“女王様”と出会う。そして彼女の周りで起こる連続殺人。果たして犯人は誰なのか。“女王様”との出会いを機に社会復帰を目指し、44歳独身、童貞、ニート、デヴ、オタク、そしてロリコンが事件の真相を追う!


これは好きだ。主人公や犯行動機などの設定は少なからず時代を風刺しているが、ストーリーそのものはむしろ平凡。ただなんと言っても作者がこの作品に仕掛けたトリックが楽しい。自分も思わず「そういうことかあ」とつぶやいてしまった。どんなに巧いトリックでも所詮それは一過性のエンターテイメントに過ぎないが、やはり遊び心というものは必要であろう。同じく歌野さんの作品で『葉桜の季節に君を想うということ』が2004年版の「このミステリーがすごい!」第一位を取ったみたいなので、次の図書決定。また喜んで騙されよう。