スペースプローブ / 機本伸司

あいかわらず「人間の存在意義とは何か」という人類の至上命題に挑む機本伸司さんの作品。本格SFではないからしょうがないのかもしれないけど、全体的に荒削りな印象を受けてしまった。SF小説ってストーリーと同じぐらい設定や背景が重要で、それをきちんと説明しないと中途半端な作品となってしまう一方で、延々と説明が続くと冗長的になるというジレンマを常にかかえている。そのバランスがうまく取れてないというか、きっと作者さんの頭の中ではきちんとした構想が練られていると思うんだけど、残念ながらそれがあまり伝わって来ませんでした。


『神様のパズル』は本当に好きな作品なんだけどなあ。それ以外はあまり振るわない機本作品。

「科学で真理に届くと思い込むこと自体、おこがましいんじゃないの?人間のおごりよ」

「宇宙なんて、所詮人間には分からないものかもしれない。けど、分からないものを分かろうと努力し続けることこそ、人間そのものじゃないの?宇宙に潜む大いなる謎は、そんな人間のために用意された、永遠の目標なのかもしれない……」