容疑者Xの献身 / 東野圭吾 / ★★★★★

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

一人の女性を愛した、一人の男性の、あまりにも切ない物語。おそろしく完成度の高い作品だと思ったら、案の定、第134回直木賞受賞作品だった。これに関しては異論を挟む余地がない。まさにS級ミステリーでした。


それにしても、真実を伝えられたときの靖子があまりにも不憫すぎる。この先幸せにもなれず、気持ちが休まることもなく、でも死ぬことも絶対に許されない。ときとして愛ほど残酷なものはない。

もし真相を知ったら、あなたは今以上の苦しみを背負って生きていくことになる。それでも僕はあなたに打ち明けずにはいられない。彼がどれほどあなたを愛し、人生のすべてを賭けたのかを伝えなければ、あまりにも彼が報われないと思うからです。


(9/50)