イン・ザ・プール / 奥田英朗 / ★★★★☆

イン・ザ・プール (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

変人の極みともいえる精神科医伊良部一郎と、彼の元を訪れる負けず劣らず奇想天外な患者さんたちとの連作短編集。テーマは「人の目や体裁ばかり気にする現代人に対するアイロニー」。


なるほど、これは面白い。無理して高価な物で自分を着飾ったり、ストレスを溜めてまでその安っぽいプライドを守ったところで「自分」という本質は何も変わらない。伊良部先生みたいに無礼で無頓着まで行くと問題アリだが、肩の力を抜いて自然体に生きろ、と。なんとなく自分にも身に覚えがあるので、ちょっと心に響いた。全ての現代人へ。

みんなが伊良部のようなら、きっと地球上の悩み事の大半は雲散霧消することだろう。
くそお。呑気を独り占めしやがって。


(15/50)