BANANA FISH ## / 吉田秋生 / ★★★★☆

Banana fish (1) (小学館文庫)

Banana fish (1) (小学館文庫)

Banana fish (11) (小学館文庫)

Banana fish (11) (小学館文庫)


“国家”という絶対的権力の前にして自分たちの無力さを味わいながらも、それでも信じる者たちのために抗い続ける少年たちのドラマ。命よりも大切な人と出会うということ。命よりも大切な人を守るということ。そして命よりも大切な人を失うということ。そんな出来事を通じて少年たちは大人の階段を登っていく。


きっと本作を少年少女時代に読んだ子たちは、自分たちの前に立ちはだかる大人たちに抗い、アッシュたちに感情移入し、そしてそれこそ一緒に大人の階段を登っただろう。ただ30代を目の前にした私はどちらかというとマックスや伊部さんたちの立場であり、アッシュらに対してはもはや保護者の感情しか生まれなかった。それでも作品としてはハラハラドキドキさせられる大変良質なアドベンチャーでした。


また本作は同時に最高純度のBL作品である。世の腐女子方が一体何を読んでらっしゃるのか一切存じ上げませんが、下手に汚れる前にそのピュアな瞳で是非とも本作を読んでいただきたいと、ひそかに思いました。

お願いだ…
あいつを連れていかないで下さい
神様――
おれをかわりに……!