死ねばいいのに / 京極夏彦 / ★★★★☆

死ねばいいのに

死ねばいいのに

はじめての京極夏彦作品。すごい。会話だけでここまで読者を惹き込めるなんて。ベテランの、圧倒的なテクニックを見せつけられた。こういった現代小説は京極先生の十八番ではない気もするけど、だからこそ書き手も読み手も新鮮な何かを味わえるのか。

「あのさ、俺思うんだけど、あんたの言うマイナスって、ただプラスがねえってことじゃんか。それ、マイナスじゃねえよ。人生でもなんでも、普通はゼロだって。プラスもねえしマイナスもねえのが普通じゃん。あったって結局はプラマイゼロだから。良いことがねえから不幸だって、それ、おかしくね?」


(24/50)