笑う招き猫 / 山本幸久 / ★★★☆☆

笑う招き猫 (集英社文庫)

笑う招き猫 (集英社文庫)

百八十センチ超えのヒトミ。ポッチャリのアカコ。二人合わせて『アカコとヒトミ』。そう、彼女らは漫才師。


波瀾万丈な人生があるわけではない。心臓を掴まれるような緊張感があるわけでもない。嘆息するような人生の教訓があるわけでもない。ただ漫才に人生をかける二人の、単調で、ちょっぴり刺激的な毎日を描いた作品。山本幸久さんの処女作であり、原点。何気ない毎日のお仕事の中に潜む幸せを思い出させてくれます。

「テレビってつまんないねえ」
(中略)
「でね。あたし考えたんだけどさ、これなら勝てるって」
「勝てる?」
「あたし達二人だったら」
あたし達?二人?
「大学であたし達、漫才、演ったじゃん」
「一回だけね」
「あれ、受けたよね」
「そりゃそうだけど」
「また演んない?」
「何をさ」
「漫才」


(2)