コロヨシ!! / 三崎亜記 / ★★★★☆

コロヨシ!!

コロヨシ!!

「掃除」。それはごみやほこりを片付けること。転じて悪しき存在を排除することを意味する。しかし、この世界にはもう一つの意味があった。「掃除」。それは競技名の一つ。敷舞台と呼ばれるフィールドの中で長物を手にして舞い、塵芥を回収していく。主人公はそんな掃除部に所属する一人の青年、樹。掃除を取り巻く複雑な事情の中で、樹は自らの成長に思い悩む。自分にとっての掃除とは何か。そして掃除の先にあるものとは。青春スポコン小説。


現実と少し乖離したファンタジーにスポコンという稀有な組み合わせがなんとも三崎亜記さんらしい。「掃除部」って響き、惹かれるわあ。そして何より試合を描写する多彩な表現が、「掃除」の持つ優雅さと力強さを華麗に演出している。スポコン小説としても良く出来ていて、迷いながらも頂点を目指す樹がなんとも愛おしい。ただ最後が、こういう終わり方もアリなのかもしれないが、個人的には気持良く終わらせて欲しかった。


調べてみたら先月、続編が出ていたので、そちらに期待。

なぜ掃除を続けるのか?
(中略)
何はともあれ、みんな掃除が楽しいのだ。
塵芥を得物の采配一つで、自在に操る。掃除という言葉の「乱れを整え、清める」という原義そのままに、単純でありながら厳粛で、奥深い。
自らの身体を衝動のままに解放し、同時に冷静に制御する複雑な喜びや、伸び縮みする時間の中をたゆたうような不思議な感覚も、掃除ならではだろう。
そして何より、満開の桜花のごとく散会した塵芥に得物を突き立てて向かう。震えるような興奮。やった者だけが味わうことのできる、特別な瞬間だった。
それらが、根底で部員たちの頑張りを支えているのは確かだろう。


(5)