虐殺器官 / 伊藤計劃 / ★★★★☆
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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自らの正義を疑わず、“罰”を執行する一人の男と、自らの正義を見いだせず、“罪”に苦悩する一人の男との戦い。MGSを彷彿とさせる世界観だなあと思っていたら、作者さんが大のMGSファンらしい。納得。
作品自体はどこまでも色のない世界。それはまるで葬儀のような静けさ。あとで調べてみたらこの作者さん、肺ガンを患って闘病しながら執筆をしていたらしい。そして本作でデビューしてから2年後に亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りします。
地獄はここにある、とアレックスは言っていた。
地獄は頭のなかにある。だから逃れられないものだ、と。
罪悪感の対象が死んでしまうということは、いつか償うことができる、という希望を剥奪されることだ。殺人が最も忌まわしい罪であるのは、償うことができないからだ。お前を赦す、というそのことばを受け取ることが、絶対的に不可能になってしまうからだ。
死者は誰も赦すことができない。
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