まだ見ぬ冬の悲しみも / 山本弘 / ★★★★☆

まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

まだ見ぬ冬の悲しみも (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

音速の格闘戦を描いた『奥歯のスイッチを入れろ』。生命の美しさを描いた『バイオシップ・ハンター』。言語の持つチカラを描いた『メデューサの呪文』。タイムトリップの新たな側面を描いた『まだ見ぬ冬の悲しみも』。不確定性と認識をテーマにポップに仕上げた『シュレディンガーのチョコパフェ』。異次元の怪物との戦いを描いた『闇からの衝動』。全6篇からなるSF短篇集。


SF好きのSF好きによるSF好きのための作品。短篇集なので大河的、宇宙的な面白さはないけど、どれも宇宙よりも壮大な想像力から生まれた、単純にSFそのものの面白さを楽しめる作品たち。やっぱりSFは夢があっていいなあ。特に『まだ見ぬ冬の悲しみも』の結末は、今まで聞いたことのないタイムトリップの現実を見せつけられて震えた。

理論物理学者ブライアン・グリーンが語る「人間もホログラフィの一種」という可能性
http://wired.jp/2012/05/20/geeks-guide-brian-greene/


SFはフィクションだし、フィクションだからこそSFなんだけど、こういうニュースがぽっと現実に現れると興奮しちゃうよね。

生きていきたいのなら、自分以外の多くのものを許容しなくてはならない――何も許容できない者は世界からも許容されないって、どうして分からなかったんだろう?


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