あした世界が、 / 柴崎竜人 / ★★★★☆

あした世界が、

あした世界が、

私、吉山郎美は極度のあがり症。そんな私が部の存続をかけた会社の事業報告会で報告をすることになり、案の定、私は意識を失った。そして目覚めると、そこは10年前の世界。私は高校3年生に戻っていた。現実に戸惑いながらも失われた時間を取り戻すチャンスを得た私は、今度こそ叶わなかった恋を成就させようとする――


タイムスリップの恋愛モノ。ちょっと『時をかける少女』を思い出させる。


28歳と18歳。10年でできるようになったこと、できなくなったこと、その喜び、悲しみ。そんな彼女の想いに思わず感情移入してしまう。石田衣良の小説みたいな、いわゆる“リア充リア充によるリア充のための小説”だったけど、結構面白かったな。


「アタシ、先生っぽいこと言うの嫌いなんだけどさ。あのねロミ、あんたまだ十八なの、取り返しのつかないことなんて、あんたの年でひとつもないの。たったのひとつも、よ」
「……」
「年ととったらできないことでも、いまならできる。そういう時期を青春っていうんだし」

「迷ったときは、いつも勇気が必要なほうを選べ。そうすりゃ後でぜったい後悔しねぇから」


(26)