下町ロケット / 池井戸潤 / ★★★★★

下町ロケット

下町ロケット

元宇宙科学開発機構ロケットエンジン開発主任、現佃製作所社長、佃航平。開発を担当したエンジンが打ち上げに失敗し、佃は父の家業を継ぐことになった。純粋に夢を追っていた研究員時代と違い、今、彼の肩には社員とその家族の生活が重くのしかかる。大企業の一方的な契約破棄、特許侵害による起訴、社員たちの謀反、そして買収話。研究者と経営者の狭間で苦悩しながら、佃は町工場を率いて大企業に一世一代の勝負を挑む。


面白い。すごく面白い。何かの受賞作だったことは覚えていて、本屋大賞かなあと思ったら直木賞でした。まあどっちにしろ納得。


弱者がその正義を持ってして強者を倒す爽快感。チームで一丸となってプロジェクトを完遂する達成感。どんな困難が立ちはだかろうと最後まで自分の夢を貫く情熱。そして絶対的なハッピーエンド。そりゃあ面白い。


日本のモノづくりを支えている中小企業が舞台というのがまたニクい。「はやぶさ」が帰還してその模様が映像化までしたけど、おそらくその成功の裏にはこうした中小企業をはじめとする様々な研究者の努力が隠れているんだなあと、改めて感動させられる。たとえばFacebookが一躍成功したところでそれはたかだが3000人の成功だけど、ロケットを1基打ち上げるのには何万という人が関わってくる。そう思うとモノづくりって面白いなあって。


まあ来年ぐらいに映像化するかな。きっと。

金の問題だけで割り切れるほど、単純な話ではなかった。この特許を開発するために、佃と山崎が中心となってどれだけ必死に研究を重ねてきたか。新しい技術への拘り、情熱。特許はその結晶だ。

「カネの問題じゃない」
佃は断言した。「これはエンジン・メーカーとしての、夢とプライドの問題だ」


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