トワイライト / 重松清 / ★★★★☆

トワイライト (文春文庫)

トワイライト (文春文庫)

天才少年だった克也。ガキ大将だった徹夫。みんなのアイドルだった真理子。お調子者だった浩平。そしてそれをいつもどこか冷めた様子で見守っていた淳子。26年の時を超えて、彼らは母校で再会する。家庭を持ったり、キャリアを築いたり、何も変わらなかったり、各々が各々の人生を歩んでいた。しかし、たとえ歩む道は違っても、皆の心にひそむ想いは同じだった。幸せとは何か。未来に託したいものとは何か――


テーマは『家族』。重松さんの作品って家族とか故郷とか、人間にとって不可欠な、だけどシンプル故に陳腐になってしまいがちテーマが多い印象があって、だから書評も両極端のような気がする。今作は当たり。『流星ワゴン』も当たり。家族となると、妙な魅力を放つ。あと正統派小説だけあって、言葉が好き。

ドラえもんってさ、未来のいろんな道具をのび太に貸してやるだろ。でも、その中に、勇気の出てくる道具はないんだよ。
(中略)
二十二世紀だか二十三世紀だか知らないけど、どんなにすごい未来でも、勇気を持ってくるのはできないんだ。勇気はいまの自分からしか湧いてこないんだよ

ジャイアンって、こんなにつまらないおとなになったんだな。


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