武士道セブンティーン / 誉田哲也

武士道セブンティーン

武士道セブンティーン

ご存知、『武士道シックスティーン』の続編。今作では逆に新天地に移った甲本の苦悩を描く。まあ、最高の青春小説です。甲本と磯山が愛しくてしょうがない。


読んでてふと思ったのは、海外の小説や映画でこういった青春モノってほとんど見ないなあって。いや、ただ自分のアンテナが狭いだけなのかもしれないが、そもそも人生に対する価値観が違うような気がする。日本人にしてみれば若い頃こそがそれこそ人生の春で、大人になることはどこか諦めに近い感覚で捉えられる。逆に欧米人にしてみれば大人になって仕事して結婚して社会に認められることこそがステータスである。例えば“少年らしさ”という表現は日本では褒め言葉としての側面を持つが、欧米ではもう完全にバカにしている。だからかな、日本では若者の繊細な心の動きを描写した作品が称えられ、海外では偉人の成功譚が楽しまれる。


まあ別に大したオチが待ってるわけじゃないんだけど、海外への憧憬がより一層強くなった時間でした。

「あの人の、磯山さんの剣道には、少なくとも、魂があったわ。乱暴だし、滅茶苦茶な人だったけど、それでも……あの人の剣道には、間違いなく、武士道があったわ」