ジェネラル・ルージュの凱旋 / 海堂尊 / ★★★★☆

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

ナイチンゲールの沈黙』と時間軸は同じで、主役は“ジェネラル・ルージュ”こと救命救急センター速水晃一部長。バチスタがミステリーで、ナイチンゲールがファンタジーで、そして本作はまた違った趣きを持つ。見所はなんと言っても患者を第一に思う速水部長と収益やら倫理やらにこだわる病院側との丁々発止の論理バトル。病院側の正論が通るのが現実だが、そこはエンターテイメント。自らの信じる正義を貫く速水部長とその弁舌に誰もが惚れ込んでしまう。まさに速水部長の英雄譚でした。


個人的には是非とも“氷姫”姫宮を主人公としたスピンオフが読みたい。背が高くて、ドジっ子で、でも医師免許を持ってて、やるときはやる。なんてアニメ的で魅力的なキャラクターなんだ。

「患者に対しては、ベストを尽くす。状態の悪い人は、少しでもマシにしてお返しする。心臓が止まれば引き戻す。戻らなければ死因を追求する。もしも医者が患者の死に際し何もしないなら、医者と坊主は変わらない」


(5/50)