ハッピーリタイアメント / 浅田次郎 / ★★★★☆

ハッピー・リタイアメント

ハッピー・リタイアメント

自衛官の大友勉と元財務省の樋口慎太郎。定年間際の二人は人生の最後に一花咲かそうと“仕事”をする。天下りなど現代の社会問題を織りまぜた痛快アドベンチャー。『オー・マイ・ガアッ!』といい、浅田氏のアドベンチャー小説は胸がスカッとして好き。王道かもしれないけど、やはりハッピーエンドは正義だ。


社畜人生は長く、決して平坦な道程ではないかもしれないが、終わり良ければ全て良いではないか。目指すはハッピーリタイアメント。

――そういう能なしが、役人の本質ですか。
「まあ全部とは言わんがね。営利を目的とせず、さりとて公僕としての自覚もない役人は大勢いる。無目的無自覚ということはつまり、能なしだな。しかし国家は彼らが経営しているのだ。組織を維持するための犠牲となった連中に福音をさずけるのは人情だろう」
――ちがいますねえ。それは人情と言うより同族意識、いやあなたの王国を作るための手段でしょう。


(34/50)