屋上ミサイル / 山下貴光 / ★★★★☆

屋上ミサイル (このミス大賞受賞作)

屋上ミサイル (このミス大賞受賞作)

普通の女子高生、アカネ。喧嘩最強の不良、国重。寡黙なる観察者、沢木。イケメンの自殺願望者、平原。ある日、四人は屋上部を立ち上げる。アメリカのテロリストが東京にミサイルを撃ちこもうとする最中、彼らはただ自分たちの屋上の平和を守るために様々な事件に立ち向かう。そしてやがて彼らはひとつの真実に辿り着く――第7回『このミス』大賞受賞作。


様々な出来事がひとつにつながっていく様は伊坂幸太郎三谷幸喜を彷彿とさせる。個人的に好きなのは「背景」の使い方。ただの高校生である彼らの周辺で起こる事件とテロリストやミサイルという国家的危機を対照的に描くことで、逆に前者にリアリティを持たせ、後者をテレビの中の出来事のように描く。話のテンポも良くて、割と読みやすい青春ミステリーでした。『謎解きディナー』よりもオススメ。


あ、あと余談ですが、アカネは好きなタイプ。

「世界は偶然と驚きに溢れているな」国重がふっと笑う。「劇的だろ、劇的」


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