青の炎 / 貴志祐介 / ★★★★★

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)

櫛森秀一、17歳。愛する母と妹を守るため、彼は自らの手で全てを終わらせることを決意した。その内に静かなる青の炎を宿して。


再読。『告白』を読んでまた読み返したくなった。初版が1999年、「キレる17歳」という単語が流行したのがちょうど2000年。しかし、本作の17歳は「キレる」とは程遠く、冷酷そのもの。それ故に切ない。計画から実行に至るまで、秀一の微細な心情の変化を感じ取りながら、あまりに哀しい最後を味わい下さい。

静かな激怒が、ひたひたと心を満たしていく。それは、今までの、真っ赤な炎のような怒りとは、異なっていた。秀一の脳裏で輝いていたのは、鮮やかなブルーの炎だった。最も深い思索を表す色。だが、その冷たい色相とは裏腹に、青の炎は、赤い炎以上の高温で燃焼する。


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