アフリカン・ゲーム・カートリッジズ / 深見真 / ★★★★★

アフリカン・ゲーム・カートリッジズ (Next)

アフリカン・ゲーム・カートリッジズ (Next)

掌に意識を集中して干渉粒子ポテンシャル力場を展開。手の中に装填済みの銃が出現する。静かにセーフティを外し、撃つ――銃を召喚する「銃使い」。しかし、銃の携帯が違法である日本では銃使いは無条件に射殺される。銃使いを狩るGEA。対して銃使いによる擁護支援組織、AGC。銃使いをめぐる戦争に巻き込まれながら、少年は銃を召喚できる自らのアイデンティティに苦悩する。


再読。ガンアクション。銃を召喚できたり、時間間隔が遅くなる特殊能力が使えたり、サブマシンガンを二丁拳銃で乱射したり、まさに「中二」な設定。『BLACK LAGOON』みたいなカッコつけた言い回しも相まって、独特の世界観を作り出している。テーマは「青春」。と言ってもそんじゃそこらの青春とは程遠いが、自問自答し始める辺りはまさに青春と言える。実在する銃もたくさん登場し、まさに世界観勝負の作品なので、好きな人は大好き。僕は大好き。

僕に殺される人間こそ真の不幸だ。

殺し合うこと自体は実にくだらない。楽しいことだが、楽しんではいけない。問題は、その先にあるものさ。壊すだけなら、どんな馬鹿でも動物にでもできる。創造することの方が難しく、価値がある。破壊は全て、新しく創造するためでなければいけない

僕はずっと勘違いしていた。歯車にしかなれない人間もいるのだ。無理をすることはない。自分で選択し、覚悟さえできているのなら、歯車として生きるのも悪くないはずだ。山本山茶花という、大きな車輪を回す、歯車として。


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