煙か土か食い物 / 舞城王太郎

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

舞城王太郎氏の処女作。なるほど、『阿修羅ガール』と切り口こそ違うものの、根底にあるテーマは同じ、「自己発見」。全く別々の作品なのに着地点がおなじというのは面白い。だったら二作品とも読む必要はないかなと思ってしまうのもまた事実。個人的にはただ野蛮な本作より生命力に溢れた『阿修羅ガール』のほうがぶっ飛んでて好き。

人生にはいろんな出会いがあって、だけど長続きするのなんてたったの一つか二つ。(中略)結局のところ最後に君と一緒にいるのは彼らなんだ。君が年を取って髪の毛を失い出した頃まだ君のことを気にかけてくれるような人間の名前を君は挙げられるかい?