フリーランチの時代 / 小川一水 / ★★★☆☆

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

宇宙人のチカラで不老不死になってしまった火星探検隊を描いた『フリーランチの時代』、事故で脳を人工臓器とした少女を描いた『Live me Me.』、宇宙のニート生活を描いた『Slowlife in Starship』、人類が病死や老衰死から解放された世界を描いた『千歳の坂も』、『時砂の王』のスピンオフ『アルワラの潮の音』。


人は死ぬ。故に人は完全には自由になれない。では不老不死になったら、真の意味で自由を手に入れたら、人類はどうなるか。それが本作のテーマでした。「フリーランチの時代」とは面白い。でも、まあ、衰退するんじゃないかなあ。不老不死にも関わらず。そういった意味では、“自由”とは空想上の概念なんだろうな。

「ということはこの先も、個々人の権利が拡張しないと考える理由はないわ。何を食べるかではなく、ものを食べるかどうか。どうやって生きるかではなくて、生きるか否か。そして自分が何者であるのか。それを調べるんじゃなくて、自分で決定することも、将来人間がもちうる権利のひとつだと思わない?」


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